さて今回ご紹介するウイスキーはスコットランドのスぺイサイド地域の グレンファークラス 105(Glenfarclas 105)となります。 1836年設立のグラント家による数少ない家族経営の蒸留所で作られるシングルモルトウイスキーであり、アルコール度数60%のカスクストレングスとなります。
さて、今回はどんな世界を見せてくれるでしょうか?
Glenfarclas蒸留所の紹介
1836年にロバート・ヘイが農場に作ったされる蒸留所(実際にはもっと以前から密造していたらしい)は、1865年6月にジョン・グラントが農場ごと蒸留所を購入したことでグレンファークラスの歴史が始まります。
Home - Glenfarclas - Glenfarclas
その後、一時は他社との共同経営などで痛い目にあったりもしますが、四代目のジョージ・スコット・グラントの時代に大きく発展しました。彼は2002年に亡くなるまで52年間もグレンファークラスの代表を務め、その間に多くの良質のウイスキーの樽在庫をキープ(ブレンデッド用の原酒販売を控え)したことで現在も自社で多くの古酒樽を維持し続けることができています。また同時にシングルモルトウイスキーの販売に注力していきます。
その後を引き継いだ5代目のジョン・L. S.・グラントはその時点ですでに30年の実績があり自身でシェリー樽を選択し、ファミリーカスクによる瓶詰なども登場しました。
現在は6代目がセールスディレクターとして活躍中です。
代々家族経営にこだわってきたことによる品質の高さが際立つ蒸留所であり、原料のモルトにはピートを使用しないノンピートモルトを使用、ガスによる直火炊き蒸留、最初から最後までシェリー樽による熟成、またノン・チルフィルター製法や着色料を使用しないなどのこだわりもあります。
このようなこだわりが、現在も変わらぬしっかりとした逞しいグレンファークラスのシングルモルトウイスキーを作り続けている秘訣なのでしょうね。
Glenfarclas 105について
今回紹介するGlenfarclas 105は、まさにグレンファークラスを代表するど真ん中にあるカスクストレングス、アルコール度数60%と全くブレのない作り。さすがにそのままでは飲めないので加水しながらいいポイントを見つける楽しさが逆にある。
アルコール度数 | 60% |
着色 | 着色無 |
色合い | 深いピーティーゴールド |
香り | 複雑なオークの香り、リンゴと洋ナシの心地いい甘さ。 |
味わい | 辛口でパワフル、さらにモルト感やオイリーさも感じる、オークとシェリーの複雑さ。 |
余韻 | 驚くほど滑らかな強さ、余韻の長いドライさと温かさ、それでいて非常に丸みを帯びている。 |
我々の感想
色:やや濃いめの琥珀色。シェリー樽によるしっかりとした色合い。加水するとやや明るい色となるがそれでもやや暗めのゴールド色。
香り:シェリー香がまず第一インパクトとしてくるが60%とアルコール度が高いためアルコール感も強く感じる。私たちの好みはとワイスアップすること。そうすることで香りを和らぎ、アルコール度数も30%程度になり飲みやすくなる。やや個性のあるハーブ系のはちみつやフルーツ、リンゴの香り、わずかなスモーク(樽?)の香りもある
味わい:加水してもボディーのしっかりしたたくましさを感じる。香りはどこまでのシェリー樽の影響で甘さを感じるが、口に含むとかすかなスモーキーさとナッツや木の香りが出てくる。自分自身のちょうどよい加水加減を見つけられるときれいに飲みやすく開く。
余韻:グレンファークラス全般に入れることだが、ゆっくり味わえる。どこまでも余韻が気持ちいい。
まとめ
まさにグレンファークラスの中心にあるたくましいカスクストレングス。他のシリーズは時にシェリー感や甘さが前面に出ている感があるが、これはとにかく硬派。何度も同じことを繰り返すが、それぞれがいいと思う加水加減を見つけながら、ゆっくり少しづつ加水しながら飲んでいくのが楽しいウイスキーです。
夜にゆっくり時間を掛けて楽しめるのがグレンファークラスの真骨頂!
このカスクストレングスの”105”はイギリスの女性首相だったサッチャー首相のお気に入りだったそうです。